THINK DIALOGUE 001:分身ロボット「OriHime」
「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」にて、遠隔操作の分身ロボット「OriHime」との対話を通して、身体性と対話の関係性について体験的にヒントを得たので、私自身の経時的な心境の変化と共に記録する。
①入店して遠くに「OriHime-D」が歩いている。今までロボットというインターフェイスを通して会話をしたことがなかったのでどのような感じで話しかければいいのか少し戸惑う。
②予約まで時間がありベンチに座っていると、Mさんがパイロットしている「OriHime-D」が自分の方にスーッと歩いてきて「こんにちは」と声を掛けてくれて、会話がはじめる。Mさんとの会話と身体、腕、首の前後左右の動きが連動しており、数分間話しをしていると、「OriHime-D」をMさんとして会話しており違和感を感じなくなる。一緒に写真を撮り、「可愛く撮ってね」という一言に少しドキッとした。
③予約の席に着き、Oさんがパイロットしている「OriHime」と30分ほど説明を聞いたり、会話をしたりする。「OriHime-D」と比較してサイズは小さく、手をパタパタさせる、首を動かすというシンプルな動作であるが、会話の内容と仕草が連動していて、「OriHime-D」と同様に「OriHime」をOさんとして会話しており違和感を感じなくなる。
④Oさんがパイロットしている「OriHime」との会話時間が終わり、Oさんが「OriHime」からジャックアウトすると、「OriHime」の目の光が消えて手を丸める体勢で静止して、何とも言い難い寂しさを感じた。「OriHime」という分身ロボットを通して会話するということは、メディア自体が身体を持つことであり、電話やビデオ通話を終えた後には感じない新たな感覚であった。
⑤「OriHime-D」からOさんがジャックアウトして、人工呼吸器をして目の動きで「OriHime-D」の身体動作と、会話を操作するJさんが「OriHime-D」にジャックインした。Oさんがさっきまでこの場にいたのに、今はこの場にはいないということが不思議に感じられた。これもやはり、電話やビデオ通話を終えた後には感じない新たな感覚であった。
・HP「分身ロボットカフェ DAWN ver.β」より (https://dawn2021.orylab.com/) 『分身ロボットカフェ DAWN ver.β』とは、株式会社オリィ研究所が運営する、2021年6月に東京・日本橋にオープンしたカフェです。 当カフェは外出困難者である従業員が分身ロボット『OriHime』&『OriHime-D』を遠隔操作しサービスを提供している新しいカフェです。 私たちはテクノロジーによって、人々の新しい社会参加の形の実現を目指しています。 ぜひ、少し先の未来を体験しに来てください! 《アクセス》 〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3-8-3 日本橋ライフサイエンスビルディング3 1F ●東京メトロ日比谷線 : 小伝馬町駅 徒歩4分 ●JR総武線 : 新日本橋駅 5番出口すぐ ●東京メトロ銀座線 : 三越前駅 徒歩7分 ●JR山手線 : 神田駅 徒歩10分