VISION:「感覚を解放する。」

我々、”HOMO DIALOGISE(ホモ・ダイアロジス/対話する人) “は、他者、自己、モノ、環境、自然と”対話”(二者以上の間で行われる感覚-行為の相互連鎖)を繰り返し、関係性を築くことによって、理解を深め合い、文明/文化を築いてきた。

MITSULAB では、”対話”(二者間で行われる感覚-行為の循環的な相互連鎖)のかたちを規定するものを
 ①「感覚」・・・感覚の入力に応じて行為のフィードバックを行う。
 ②「行為」・・・行為の出力により相手との対話を行う。
 ③「概念」・・・人は言葉で概念化することで認識が可能となる。(新たな概念を得ることによって、新たな認識が可能となる。)
と定義して、①②は感覚-行為を多感覚的に拡張するインターフェイスの開発(「多感覚対話 “MULTIMODAL SENSELOGUE“」)、③は感覚-行為の概念の創造(「超感覚対話 “QUALIA SENSELOGUE“」)により領域を拡張することで、”対話”の可能性を広げることを目指す。

[感覚対話 “SENSELOGUE“]

人間は対話において、話す内容の言語情報、声色・呼吸音・環境音などの聴覚情報、表情・身振り・視線・その人の雰囲気・場の雰囲気などの視覚情報、肌触りなどの触覚情報、その人の香り・空間の香り・食べ物や飲み物の香りなどの嗅覚情報、自分の感覚自体を俯瞰的に感じるメタ感覚情報、互いの間合いや空気感、好き嫌いのようなその他感覚的情報などの複合的な情報を相手との関係性によって脳内で無意識的に取捨選択しながら相互のやりとりを通して、互いの意図を理解し合っている。

私が見据えている「感覚対話“SENSELOGUE“」では、「感覚対話インターフェース ”SENSELOGUE INTERFACE”」により、言語情報・聴覚情報・視覚情報・触覚情報・嗅覚情報・メタ感覚情報・その他感覚的情報などの複合的な感覚情報を、情報空間において伝達可能な感覚情報に変換することで、身体的、言語的、文化的、時空間的な障壁を超えた対話を実現することを目指す。

また、「感覚対話SENSELOGUE」、「感覚対話インターフェース ”SENSELOGUE INTERFACE”」は、意識的な言語処理に拠らない情報の入出力が可能であるため、多身体拡張等における意識的/無意識的な身体動作の制御方法として有効な方法であると考える。

[内感覚対話 “QUALIALOGUE“]

“QUALIALOUGE”とは、自己の内面の感覚との対話のことで、創作を起点にテクノロジーとの融合により、自己の内面との対話の可能性を広げる。

内感覚対話の対話段階を時系列順に並べると以下の通りである。

 ①内観的イメージによる自己感覚対話 (MONOLOGUE(内省独話))
 ②「感覚対話インターフェース ”SENSELOGUE INTERFACE”」や人工知能による機人感覚対話 (DIALOGUE(相互対話)) (現在~数年)
 ③脳内で生成される自己感覚イメージを外部化可能なテクノロジー(BMI等)による脳間感覚対話 (数年~数十年)

②の段階から、時間の経過と共に情報空間に占める感覚情報(画像、3Dデータ、音など)は、人間が創造したものより、機械により生成されたものが多数を占めるようになると考えられる。

③の段階では、人間の脳内で生成される感覚情報が外部化可能となることで、人間同士の対話の質が大きく変容する。情報空間に存在する状態が固定化された感覚情報の需要は相対的に下がり、人間の脳内で状態が固定化されていない感覚情報を生成するための”概念”の需要が高まる。